一般的に骨折は、転倒・転落などのケガにより発生しますが、骨の強度が
低下しているために、明らかなケガをしていないのに、日常生活において
発生する骨折を、「脆弱性骨折」(ぜいじゃくせいこっせつ)と言います。
高齢者の場合、ほとんどが骨粗鬆症に基づく疲労骨折と言えます。
これまでに私が経験した部位は
背骨(脊椎)、あばら骨(肋骨)、骨盤(恥坐骨、仙骨)、脚の付け根(大腿骨頸
部)、膝の内側(脛骨内顆)、足首の内側(脛骨遠位部)、かかと(踵骨)、前腕
(尺骨)などです。特に背骨の圧迫骨折は多く、高齢になり、背中が曲が
ってくる原因の多くは脆弱性骨折によるものです。
これらの殆どは手術を必要としませんが、大腿骨頸部骨折の場合は、時に
手術治療を要しますので、注意が必要です。又、脊椎骨折も、脊髄神経圧
迫による運動障害や感覚障害が現れた場合や、頑固な腰背部痛が持続する
場合に、手術治療を行うこともあります。
診断において、初期には、レントゲン写真上、骨折の所見が認められない
ことも多く、確定診断や、鑑別診断の為に、MRIや骨シンチ検査を施行
することもあります。
高齢者で、何もしないのに骨が痛くなった場合、脆弱性骨折の可能性もあ
りますので、整形外科医の診察を受けましょう。
又、適切な骨粗鬆症の治療をすることにより、今後の脆弱性骨折の発生を
抑制することも可能です。