●変形性膝関節症の症状
◆立ち上がったり、歩き始めた時、膝がこわばる感じがしたり、
痛みを感じる
◆歩行時、特に坂道や階段で、膝に痛みを感じる
◆膝の曲げ伸ばしで、痛みを感じる
◆膝が思うように曲げられない、正座が出来ない
◆膝が腫れて、水がたまる
◆O脚が進行した
正常 変形性膝関節症
●変形性膝関節症の診断
◆問診
いつから、どんな症状があり、現在の主な症状は何か
体重、職歴、スポーツ歴、既往歴(ケガ、病気) などを聞きます。
◆視診・触診
痛みの部位や性状、曲げ伸ばしの具合(可動域)、腫れ、熱感、
関節の安定性、変形、歩行状態などを診察します。
◆レントゲン検査
関節の隙間を観察し、軟骨の摩耗の程度を判断します。
骨の変形や、下肢全体の形を観察します。
◆血液検査・関節液検査
膝痛をおこす他の病気が考えられる場合などに行います。
◆MRI検査
関節軟骨、半月板、滑膜、靱帯、骨髄内病変などの観察や、他の病気
との鑑別に利用します。
●変形性膝関節症と鑑別が必要な疾患
関節リウマチ
大腿骨内顆骨壊死症
半月板損傷
脛骨内顆脆弱性骨折
痛風・偽痛風
化膿性関節炎
神経病性関節症
特発性膝関節血腫 など
●変形性膝関節症の治療
■保存療法
◆薬物療法
◇内服・座薬・外用薬
◇注射
加齢と共に関節液中のヒアルロン酸の濃度が低下し、軟骨が
こすれ合い、炎症を起こすようになります。
ヒアルロン酸製剤を関節内に直接注射します
・関節の痛みを抑える
・炎症を抑える
・関節の動きを良くする
・軟骨の摩耗を抑える
炎症の強い時、ステロイド製剤を注射することもあります
<膝の水について>
水を抜くからたまるというのは迷信です。膝の炎症があるから
たまるのです。水を抜いてから、ヒアルロン酸を注入した方が
効きやすいとされています。
◇サプリメントについて
明らかな効果はありません。
◆補装具療法
◇膝サポーター
膝の安定感や、保温効果を得る働きがあります
◇足底板
足の裏の外側が厚く作られた装具です。
O脚を若干矯正することにより、膝の内側にかかる荷重を
少なくし、痛みを和らげる効果があります
装着前 装着後
◇歩行補助具
杖・シルバーカー など
膝にかかる荷重を少なくし、痛みを和らげる効果があります
◆理学療法
◇物理療法
温熱(ホットパック・マイクロウェーブ・超音波)
電気
光線療法(レーザー・近赤外線) など
◇運動療法
下記に示す方法は、変形性膝関節症の予防、治療において
大変有効な方法ですが、疼痛や体力に応じて加減する必要が
あります。
1.大腿四頭筋訓練(臥位)
仰向けに寝て、膝を伸ばした状態で、床から約20cmの
高さまで脚を持ち上げ、そのまま停止し、5秒数えたら、
脚を下ろし、3秒休みます。
これを20回繰り返します。
左右脚を変えて、同様に20回繰り返します。
筋力に応じて、足首に500g〜1kg程度の重りをつけて
行ってもよいでしょう。(次の2. 3. も同様)
2.大腿四頭筋訓練(座位)
椅子に腰かけ、膝を曲げた状態から、伸ばし、そのまま
停止し、5秒数えたら、曲げて下ろし、3秒休みます。
これを20回繰り返します。
左右脚を変えて、同様に20回繰り返します。
3.股関節外転筋訓練
横向けに寝て、股を開くようにして、床から約20cmの
高さまで脚を持ち上げ、そのまま停止し、5秒数えたら、
脚を下ろし、3秒休みます。
これを20回繰り返します。
左右脚を変えて、同様に20回繰り返します。
4.股関節内転筋訓練
仰向けに寝て、のばした両脚の間にボールや枕を挟み
内側に力を入れます。5秒数えたら、力を抜き3秒休み
ます。
これを20回繰り返します。
5.ストレッチング
椅子に腰かけ、片脚を前に出し、膝頭に両手を当てて、
押します。10秒数えたら、力を抜き3秒休みます。
左右の脚を交互に、10回ずつ繰り返します。
入浴後など、温まった状態で行うと、より効果的です。
6.歩行訓練
20〜30分の歩行が標準ですが、痛みの強い場合は無理
しないようにしましょう。
水中歩行は、浮力の為、膝にかかる負担が少なく、筋力
をつけるのに大変有効です。
■手術治療
◆関節鏡視下手術
関節内の洗浄、半月板の処理、軟骨片や骨棘(変形し突出して
いる部分)の除去などを行います
効果を長期間保つのは難しい場合が多いようです
◆高位脛骨骨切り術
脛骨を切ってO脚を矯正し、内側にかかる荷重を少なくする
方法で、あまり進行していない時期に行われます
術前 術後
◆人工膝関節置換術
変形や痛みが強く、日常生活に支障がある場合に行われます
痛みをとる効果は高いですが、手術後、膝を深く曲げるのは
困難、重労働や激しいスポーツは控える必要があります
術前 術後