五十肩(肩関節周囲炎)
肩関節周囲炎とは?
  一般的に五十肩あるいは四十肩と言われている病気で、40代〜50代
  に多くみられることから、こう呼ばれています。
 
原因
   はっきりとした原因はわかっていません。肩関節周囲の腱・靱帯・
   筋などが加齢と共に変性し、腱や滑液包などに炎症が起きるためと
   考えられています。
 
   
 
症状
   明らかな誘因がなく、肩から上腕にかけての痛みが生じ、腕を上げ
   たり、背中に回すことが困難になります。痛みは、肩を動かす時だ
   けでなく、安静時や夜間でもみられます。急性期の強い痛みは徐々
   におさまりますが、慢性期になると、肩を動かせる範囲が狭くなり
   ます。症状は数ヶ月から1年くらいで良くなることが多いですが、
   症状に応じて、適切な治療を行うことにより、症状を早く改善させ
   ることが可能です。
 
診断
   経過、痛みの状態、肩関節の動きなどにより、概ね診断は可能です
   が、次に示したような疾患との鑑別に、レントゲン検査、MRI検査、
   超音波検査、血液検査などを行います。
   ■石灰沈着性滑液包炎
     誘因なく、急激に、強い肩の痛みを生じます。痛みのため、眠
     ることも、肩を動かすことも出来ず、熱感や腫れを伴うことも
     あります。中年女性に多い傾向があります。
     肩関節周囲炎と異なり、短期間で軽快しやすい疾患です。
     <原因>腱板に沈着した石灰が、滑液包にもれて炎症を起こす。
     <診断>レントゲン検査で、石灰化像を認めます。
     <治療>鎮痛剤(内服、湿布など)の投与を行います。
         石灰を注射針で吸引したのち、薬を注入する方法が、
         効果的です。
   ■腱板損傷
     転倒や転落により肩のケガをした場合や、加齢に伴って腱板が
     変性した場合などに起こります。肩の痛みや、運動障害を来し
     ますが、ケガによらない場合、五十肩と紛らわしいことも多い。
     <原因>外傷や変性により、腱板が切れることによります。
     <診断>MRI検査、超音波検査、関節造影などで断裂を確認。
     <治療>五十肩に準じて、投薬治療や、運動療法を行い軽快す
         る場合もありますが、改善しない場合、手術治療を行
         います。
      

     石灰沈着性滑液包炎       腱板損傷
 
治療
   急性期は痛みが激しいので、無理な動作は避け、患部を安静に保ち、
   鎮痛剤の内服や湿布などの外用薬を使用し、疼痛を和らげます。
   滑液包や関節内に、ヒアルロン酸などの注射を行う場合もあります。
   疼痛が軽快してきたら、温熱療法や運動療法を行います。
   これらの方法で改善しないとき、手術治療を要することもあります。

   家庭で出来る五十肩の運動療法
     強い痛みが落ち着いたら、肩関節の動きを良くするため、積極
     的に運動を行いましょう。
     入浴などで、十分に温めた後に行うと、より効果的です。
     無理をせず、ゆっくり運動することが大切です。
     1日に1〜2回、1つの運動を10〜20回行います。
     尚、以下のイラストは、右肩が悪い場合を示しています。

     ●アイロン運動
      痛くないほうの手で身体を支え、痛い方の手で、1kg程度の、
      ダンベル、アイロン、ペットボトル等を持ち、肩の力を抜き、
      左右にゆっくり振ります。次に、前後にゆっくり振ります。
   
    
     ●壁運動
      
壁の正面を向き、痛い方の手を壁に当て、指をはわせながら
      出来るだけ、腕を前方挙上していきます。次に、横を向き、
      痛い方の手を壁に当て、指をはわせながら、出来るだけ、腕
      を側方挙上していきます。
        
     ●棒運動
      
両手で棒(タオルでも可)を持ち、痛くないほうの手で棒を
      誘導し、痛いほうの肩を動かします。
         
     ●滑車運動
      滑車に通したロープの両端を持ち、痛くないほうの手で、痛
      いほうの手を引っ張り上げます。

      

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